「ご質問のアカウントは全く知りません」自民・小渕氏がDappiとの関係否定。法人とは「HPメンテ以外お付き合いない」

    民間の信用調査機関によると、この法人の社員は15名。得意先には「自由民主党」の名があがっており、取引先銀行には大手銀行の衆議院支店の名前もあった。

    Twitter上で野党批判を繰り返し、不正確な情報や誹謗中傷などを発信していたアカウント「Dappi」の運営に、法人が関与していたとみられる問題。

    この法人と自らの資金管理団体がサイト制作などの取引をしていた小渕優子・元経産相(衆院群馬5区出馬予定、党組織運動本部長)が10月14日、BuzzFeed Newsの取材に回答した。

    法人との取引は認めつつ、「Dappi」との関わりについては「アカウントは全く知りません」などと否定した。

    「Dappi」は、フォロワーは16万人以上と、拡散力の大きいアカウントだ。プロフィールには「日本が大好きです。偏向報道をするマスコミは嫌いです。国会中継を見てます」とある。2015年からツイートを始め、一度の凍結を経ている。

    主に野党やマスコミ批判の文脈から、国会答弁の動画や、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」の動画、インフォグラフなどを公開。その発信内容には不正確な点もあり、問題視されていた。

    このアカウントに関わっている可能性があるのは、東京都内に本社を置くWEB制作会社。法人登記によると、同社はサイトの制作やコンサルティング業務、インターネット広告の運営管理業務などを担っている。

    立憲民主党の小西洋之・杉尾秀哉の両参議院議員が「Dappi」の発信者情報開示請求したことで法人の存在が判明。名誉毀損があったなどとして同社を相手取り損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こしている。

    民間の信用調査機関によると、同社の社員は15名。得意先には「自由民主党」の名があがっており、取引先銀行には大手銀行の衆議院支店の名前もあった。

    実際、自民党東京都支部連合会や小渕優子・元経産相の資金管理団体、同党東京都参議院比例区第18支部(すでに解散)とホームページ制作や資料制作などの取引をしていたことが、BuzzFeed Newsの取材で明らかになっている。

    小渕氏が取材に回答

    小渕氏の資金管理団体である「未来産業研究会」の政治資金収支報告書によると、2011年と2017〜19年に同社に対してホームページ関連の支払いがあった。支払い額は計193万7400円だった。

    小渕氏の事務所はBuzzFeed Newsの取材に対し、書面で回答した。

    小渕氏はこの会社への発注業務を「ホームページのメンテナンスをお願いしています」と説明。「Dappi」アカウントの運営に関して、指示や発注をしたことはなかったのか? という質問には「全くありません」と否定した。

    「以前事務所にいたスタッフが知り合いに紹介してもらった業者だったと聞いているだけで、ホームページのメンテナンス以外のお付き合いはございませんので、ご質問のアカウントは全く知りません」としている。

    「Dappi」が過去に不正確な情報発信を続けてきたことについても、「ご質問の件については全くわからないので回答のしようもありません」と述べた。

    この問題は、10月13日の参議院本会議の代表質問でも取り上げられたが、岸田首相は直接の言及を避けた。BuzzFeed Newsは自民党本部と都連にも取材を申し込んでいる。

    一方、法人側は10月13日までに、取材に対し「お問い合わせの件につきましては、国会議員が弊社を提訴したと聞きました。訴状を見ていないのでコメントのしようもなく回答は差し控えさせていただきます」と返答している。